理事長所信

 

 

 

第54代理事長 葉狩 暢廣

 

 

はじめに

  

昨年、厚生労働省から、箕面市民の平均寿命は男性近畿3位、女性近畿1位という結果が発表されました。健康で長寿な方が多いまちをめざす箕面市の取り組みがこのような結果につながったのだと思います。元気な高齢者が多く活躍していることは箕面市の誇りであり、若い世代にとっても勇気づけられることです。また、他方では、高齢化率の上昇と核家族化により、高齢者のひとり暮らしや高齢者のみの世帯が多くなっている現状もあり、昨年の西日本豪雨や台風では箕面市内でも多くの場所で避難指示が出ましたが、高齢者だけでは避難するのが難しいという声も多く聞こえてきました。私自身、この様なときに何ができるか、何を求められ、どの様に行動すればいいのか考えさせられるとともに、日頃からの地域のつながりや支え合う仕組みづくりが必要だとあらためて思い知らされました。その思いの根底には、箕面市で生まれ育った私は今まで多くの方と出会い、支え助けられて今ここにいます。その私を育ててくれたまちに、恩返しをしたいという気持ちこそが地域活動に取り組む私の最大の動機づけだからです。様々な立場の人がいることで社会は作られており、どんな立場の人も涙を流すことなく、笑顔で毎日を過ごせなければ成熟したまちとは言えません。

 国においても、社会構造や経済状況の変化の中で様々な複合的な課題を抱えるかたが増加している背景を踏まえて、高齢者のみではなく、障害のある方、子どもなど生活上でいろいろな困難を抱えた方が地域で自立した生活を送ることができるように、制度・分野ごとの「縦割り」や「支え手」、「受け手」という関係を超えて、地域住民や地域の多様な主体が「我が事」として参画し、人と人、人と資源が世代や分野を超えて「丸ごと」つながることで、住民一人ひとりの暮らしと生きがい、地域をともに創っていく「地域共生社会」の実現に向けた取組を進めています。

 このような、いろんな立場の方が相手を思いやり、支え助け合える地域づくりこそ、一般社団法人箕面青年会議所(箕面JC)が掲げる、明るい豊かな社会の創造であり、私たちが果たすべき役割、存在意義であると考えます。今、この本来の役割を果たすために、箕面JCには大きい強みがあります。それは、相手の立場を考え、支え助け合うことのできるやさしい心をもっているメンバーが多いということです。今あらためて、メンバーの一員として活動できることを誇りに思うとともに、メンバー一丸となり力を合わせることができれば、本来の役割である明るい豊かな社会の創造を実現していけると確信しています。

 箕面のまちが、北大阪急行線の延伸などでこれから大きく変革していく今だからこそ、高齢者の方、障害をもった方、いろんな文化の方など、もっと相手の視点に立って、見えている風景を知り、支え合う心、助け合う気持ちをもって、まちづくり活動を展開していきます。

  

 

「助け合う箕面のまちを創造」

 多くの方が笑顔で暮らせるまちを創るという理念は、すべてのまちづくり活動、地域活動の原点であります。しかし、今の多様化した社会を見ていると、すべてのかたが幸せになるというのは難しいことで、一方の幸せは他方の不幸だと思わされる場面も多くあることは事実です。

 しかし、自分自身の経験として言えることは、差し伸べてくれた手や何気なくかけてくれた声が勇気に変わり、全ての原動力になることは、誰にとっても同じです。寄り添う気持ちはどんな人も幸せにすると私は信じています。しかしながら、様々なハンディを抱えて、声すらあげることが出来ない方たちには、私が感じてきた悲しみや悔しさとは比べられないような思いをしてきたかもしれません。そういう方たちのために何かできないかと考える一方で、この気持ちこそが、私の先入観であり、相手の立場に立って物事を考えていないのかもしれません。世の中には、私の知らない世界がたくさんあり、まだまだ寄り添う力は足りてないでしょう。この知らない、さらには知ろうとしない心こそが地域づくり活動だけでなく、社会におけるあらゆる問題の根底にある大きな障壁だと私は考えています。

 私たち箕面JCは、地域活動を牽引していく団体として、箕面市に住む多くの人が、様々な立場にいる方たちの事を知るための機会をつくります。そして、お互いを知ることで楽しさを共有し、それぞれの困りごとがあれば助け合えるようなまちづくり活動を進めていきます。

 

 

「支え合う仲間を集める」

 私たち箕面JCは、地域活動を牽引する団体として、より一層、地域に根付いた活動を展開し、支え合う、助け合うまちづくりに真正面から取り組んでいくために多くの仲間が必要です。多くのメンバーが力を合わせて同じ目標に向かうことができれば、たくさんの笑顔をつくり、明るい豊かな社会の実現へつながっていくものと確信しています。このような箕面JCの理念や方針に共感し、一緒に活動してくれる仲間が一人でも多く増えていけば、さらなる視点やアイデアが自ずと増え、箕面JCとしての組織力が高まっていくとともに、明るい豊かなまちづくりの実現がより一層近づくものと考えます。まず、何より必要なことは、多くの人に箕面JCの活動を知ってもらうことだと思います。箕面JCは青年経済人が自分たちのために机上で議論だけをしている団体ではなく、いろんな人と出会いつながり、それぞれが成長することで地域へ還元できるというような素晴らしい活動に取り組んでいる団体です。こういう活動を多くの人に伝え、共感してもらえるように、箕面JCという団体をもっと発信し、支え助け合える仲間を増やしていきます。

  

 

「思いやりのあるリーダーを育成する」

 箕面JCが地域を牽引する団体として果たすべき役割の一つに、率先して地域課題に取り組むリーダーを育成することがあります。わたしの考えるリーダーというのは、本当に相手の立場に立って物事を考えられるかどうか、自分の状況に関係なく寄り添うことができるかどうかだと思っています。もちろん、豊富な知識がある、求心力があるということ、またそのために努力することも必要だと思います。色んな立場の人を支えるために、まずは、同じ視点になり、なるべくその苦しさや困難さを知ることが何よりも大切だと考えます。この社会で誰よりも強い人というのは、発言力のある人、力の強い人ではなく真の意味でやさしい人であり、そういう人はどんな困難があっても、目標への歩みを止めることなく進んでいける人です。なぜなら、いつも誰かのためという理念をしっかり持ち、行動するからです。誰よりも率先して地域のために動くことができる真のリーダーとはこのような人のことではないでしょうか。

 今年度、箕面JCは様々な事業を通して、様々な立場におられるかたの声を聴く機会を作り、今まで気づかなかった視点や見ることができなかった風景に出会うことで、もっと相手を思い、地域を思いながら活動できるようなリーダーの育成に取り組んでいきます。

  

 

「相手を思う心を育てる」

 子どもは“地域の宝”とよく言いますが、子どもの笑顔があふれるまちに悪いまちはありません。子どもたちの笑顔を増やすための取組みは、「明るい豊かな社会」の実現を目指す箕面JCにとって、なくてはならない大切な活動です。今年度においても、箕面の子どもが楽しみながら大きく成長できるような活動を継続して行っていきます。

 近頃では、スポーツに関わる不祥事など悪いニュースが多く、スポーツで伝える意味が忘れられています。こういうときこそ、箕面の子どもたちにスポーツを通じて、相手を思い、仲間を信じることの大切さ、楽しさを知ってもらえるような機会を創っていきます。

 まずは、2015年度から開催している「わんぱく相撲箕面場所」を今年度も引き続き実施いたします。日本に誇れる伝統的な文化である相撲をもっと身近に感じてもらい、勝負事においても相手に敬意を払い思いやる礼節という日本の大切な文化を学んでもらう機会を提供します。さらに、目標に向かって努力することの大切さも知ってもらえるように、今一度メンバーと気持ち新たに箕面JCだからこそ提供できる場づくりに取り組んでいきたいと思います。

  つぎに、昨年度箕面JCで開催が実現した、「JCカップ箕面地区予選大会」を今年度も開催します。サッカーにおいては、昨年開催されたワールドカップロシア大会で日本はベスト16という輝かしい結果を残し、多くの人に感動と興奮を与えてくれました。そして、それぞれが持った力を最大限発揮すること、またその力をみんなで合わせることで、大きな壁をも越えられるということを教えてくれました。このJCカップ開催を通じて、サッカー日本代表が私たちに見せてくれたような、それぞれの仲間を信じ、同じ目的に向かって力を合わせていくことの大切さを子どもたちに実感してもらい、誰もが力を発揮し楽しめるような大会づくりに取り組んでいきます。

 また、一方で、大人である私たちはこの取り組みにより子どもに学びの場、成長する機会を与えるだけでなく、子どもの視点から見る風景を通して、今一度、子どもの笑顔のために何ができるかを考えるとともに、目標に向かって努力する姿、不安や恐怖に立ち向かう姿を見ることで、子どもから学ぶことも多くあるのではないかと思います。

 地域全体で地域の子どもを見守り、育てていくこと、また子ども自身にも力を借りて地域のつながりを強くする取り組みを進めていきます。

  

 

「地域を支える組織作り」

 長い歴史をもつ箕面JCは、先輩がたが様々なことに取り組んでこられた功績により箕面のまちに根付いた団体として認識されています。今後さらに、地域を牽引する団体として本来の役割を果たすためには、もっといろいろな団体とつながり、活躍する場を広げていく必要があります。地域において、支え合い、助け合えるつながりが多ければ多いほど、網の目と同じように地域の強さに直結していくものと考えます。さらに、災害時などの不測の事態にこそ箕面JCが地域を支えることができる組織体制の構築を行っていきます。

 また、メンバーの一人ひとりが持っている力を最大限発揮できる会議運営をそれぞれメンバーが意識し、みんなが気持ちよく箕面JCの活動に取り組める組織づくりを行ってまいります。

  

 

むすびに

  

 様々な地域団体が活動する箕面だからこそ地域を牽引する団体にならなければなりません。そう言えるには箕面のまちに住むたくさんのひとが笑顔になれるようにメンバーひとりひとりが本気で考え、取り組む必要があります。

 本年度の箕面JCは、「支え合う心。助け合う気持ち。~やさしさがつなげる豊かな社会の創造~」をスローガンとして、メンバーひとりも欠けることなく力を合わせ、様々な事業に全力で取り組んでまいります。

 

 

 

「スローガン」支え合う心。助け合う気持ち。

       ~やさしさがつなげる豊かな社会の創造~

 

「基本理念」いろいろな立場の人で社会がある。

 

「基本方針」相手の立場になり行動する。

 

「行動指針」

① 助け合う箕面のまちを創造。

② 支え合う仲間を集める。

③ 思いやりのあるリーダーを育成する。

④ 相手を思う心を育てる。

⑤ 地域を支える組織作り。